アメリカのトランプ減税が実現可能性が高まってきたが、すでにこの法案は上下両院を通過し、世界中の政治家やエコノミスト、市場関係者がこの動きに注視している。アメリカの減税法案に関しては、今回のポイントとなる法人税の大幅減税によって、アメリカのGDPはかなり拡大すると私は見ており、ぜひとも日本もこのアメリカを見倣って、増税ではなく減税に舵を切ってほしいものである。今世界でアメリカの仮想敵国は来た緒戦とイランであるが、もっと大きな敵国は中国であり、この中国の問題が地球上の安全保障の最後の問題として出てくるときがくるであろう。中国のGDPは1000兆円とアメリカの1800兆円に次いで多く、日本の500兆円の二倍の規模に達している。アメリカも中国もそれぞれ核保有国であり、正面切っての戦争はできないという見方もあるが、社会主義国勝つ唯物論国家の中国なら何をしでかすかわからないというのもまた可能性としては十分にあり、我が国日本も独自に安全保障を強化しておく必要があろう。アメリカのGDPの拡大は80年代のレーガン政権期にも見られ、この時アメリカはGDPを二倍に増やすことに成功している。今回のトランプ減税もこの時の古事に倣ったものとみていいだろうし、アメリカのGDPが拡大することは、日本にとっても北朝鮮や中国の脅威が低迷することになるので望ましいことであろう。国際政治をバランスオブパワーの観点から見てみると、日本一国では中国の経済力と軍事力に対抗できず、どうしてもアメリカの協力が必要になってくるのであって、そのための日米同盟の重要性であり、新安保法まで制定してきたといえるのであって、安倍総理はリアリスト外交の視点を持っているので見ていて安心である。しかし消費税の増税や所得税の富裕税には私は反対であり、その理由は日本の景気を冷え込ませ、GDPないし税収を減らす可能性があるからであることも付け加えておく。

日本が先のフィリピンでのASEANで提唱した、インド太平洋経済圏構想で、アメリカのトランプ大統領もまたこの構想に前向きな姿勢を示したことは、政権当初のアメリカのTPPからの離脱などを巡る動きから、アメリカが本来のグローバル経済の方へ舵を切る可能性を示唆したと私は思った。すでに中国はEUまで続く経済圏、シルクロード経済圏構想を打ち出しており、日米もこれに対抗する経済圏構想が必要であると、トランプ大統領が考えが変わったとしてもおかしくない。自由貿易は基本的にはお互いの国同士を発展させるものでなければならないが、これが19世紀から戦前までの世界では、残念ながら見られなかった現象でもあり、その正当性に疑問の声もあるのは十分に解る。しかし戦後の日本の短期間での発展や、香港やシンガポールなどといった国は、自由貿易によって、高い生活水準を誇っており、ここに自由貿易の正当性がある。またインドなども発展段階だが、今後自由貿易によって経済が発展していくという期待がある。何よりも中国自身が、巨大な社会主義国であると同時に、90年代以降、自由貿易によって、世界第二位の経済大国にのぼりつめたのは注目に値する。その中国が経済的にも軍事的にも日本の脅威となっているので、今回のインド太平洋経済圏構想は、ぜひとも中国への防波堤として実現するべきだし、アメリカにも理解を求めるべきであろう。

今の国際情勢で最もその動向が危険視されているのが、北朝鮮とその背後にいる中国だが、この中国を封じ込める政策は主に4つの自由主義国で行うべきであろう。一つはアメリカ、次にオーストラリア、インド、そして我が国日本の4カ国で、自由と繁栄の弧を作るべきであろう。この中で特にアメリカと日本は経済大国として、中国のGDP1000兆円に対抗できる核となる国であり、さらに成長著しいインドも、カースト制の壁はあるが、将来的に完全な民主主義国家になれば、頼もしいパートナーになってくれるだろう。この4カ国に、さらには韓国、台湾、フィリピンなどのASEAN諸国を仲間に入れて、巨大化する社会主義国中国を牽制するべきではないだろうか。この外交理論は、17世紀の初頭のウェストファリア条約以降の、国際政治はバランスオブパワーで行われるという理論とも合致している。要するに中国に対して、戦争が起こせないように、近隣諸国とアメリカオーストラリア、インドで包囲網作ってしまうことが最も戦略性の高い外交手段となるであろう。中国封じ込めは、中国をいたずらに刺激しないかという議論もあるが、このパートナー国が輪になってかかれば、例えばアメリカやインドの核兵器は中国にとっても向こう側から手出しができない牽制の材料となるであろう。このように戦争ができない状態を作っていしまうのが、最も賢い国際政治の手法であり、そのためには日本もある程度は自主防衛能力を持っていなくてはならないであろう。

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