フランス大統領選の投票が始まった。事前の世論調査では、極右政党、国民戦線のルペン候補と、中道のマクロン候補が拮抗しているとのことである。このルペンとマクロンの最も大きな政策の違いは、EUというものに対する認識であろう。ルペンの方は、反EU、反グローバリズムといった考えの持ち主で、先日ロシアのプーチン大統領とクレムリンで会談したばかりだが、ロシアにとってはこのルペンがフランス大統領になることが最も望ましい結果となる。というのも、ルペンの大統領就任はそのままEUの弱体化につながるからであり、EUの核の国であるフランスがEUを離脱するということになれば、これはイギリスのブレグジット以上の打撃をEU経済は被ることになる。というのもフランスの通貨はユーロであり、イギリスのような単独通貨の国ではないからである。こうしてEUが弱体化すれば、ロシアはウクライナ問題でも、ウクライナをロシア側に組み入れることがより安易になってくるのであって、資源大国のウクライナの経済利権をロシアは独り占めできることになる。ウクライナ問題のそもそもの発端は、実はこのエネルギー資源をめぐるロシアとEUの争いから始まるものであり、ウクライナがEUにつくか、ロシアにつくかを巡る争いであったといえるであろう。ルペンが大統領になれば、プーチンとしては最もロシアの国力を高めることができる結果となるであろう。一方のマクロンの方は、EU重視派であり、当然EU内でのフランスの役割を大きくしていくことを考えるだろうし、そういった意味でも、ウクライナのエネルギー資源をEUに輸入することや、場合によってはウクライナのEU加盟なども進める可能性があり、ロシアにとっては面白くない結果となるであろう。