2016年11月

トランプ次期大統領は、法人税と所得税の大幅な減税を打ち出しており、さしずめレーガン元大統領を思わせる、トランプノミクスという言葉も、最近使われ始めている。レーガン大統領との違いは、トランプが、役者ではなく、経営者出身で、共和党予備選挙では、過激な発言を繰り返し、なかでもTPPのような自由貿易に反対するようなところであり、トランプ人気も、米ソ冷戦を事実上終結させた、レーガン人気にはかなわないであろう。トランプのTPP反対政策は、支離滅裂的なところもあるが、減税に関しては、クリントン候補よりも圧倒的に正しいことを言っており、クリントン候補のように、高額所得者に増税し、再分配をし、なおかつ最低賃金を引き上げるなどといった政策を実行すれば、アメリカ経済は長期の低迷に陥っていた可能性があるので、なんだかんだ言われてもトランプの方が、大統領にふさわしいと思うのは私だけではないであろう。減税し、経済のパイが約2倍に拡大したのが、レーガン政権の時であり、その時のようにアメリカ経済が、トランプ政権下で、2倍近く大きくなれば、アメリカから貧困が無くなるという意味で、真に公正な社会がアメリカで誕生するし、格差は広がったとしても、経済全体の取り分は大きくなるので、様々なビジネスチャンスが、アメリカ国内で生まれることになるだろう。やはりトランプ大統領に減税政策の正しさを、証明してほしいと思う。

今現在、日本にとって一番危険な国は、中国であろう。北朝鮮を手ごまのように使い、日本に核ミサイルの脅威を与えているのは、中国であり、その中国が今、東アジアで勢力を拡大しようと、躍起になっている。中国としては、北朝鮮が、思う存分に、国際社会で暴れてくれて、国際社会の目が北朝鮮に向かっている間に、東シナ海や南シナ海で、勢力を拡大するというのが、作戦の第一であり、その点では、今年は、リオオリンピックとアメリカ大統領選があった年なので、いわゆる政治空白の時期を見計らって、ベトナムやフィリピンにちょっかいを頻繁に出した年でもあった。中国の狙いとしては、まずは南シナ海に軍事基地をつくって、要塞化し、日本や台湾のシーレーンを封じ込め、続いて香港、台湾を手中に収めることが狙いである。日本はこうした危機に対して、自主防衛を急ぐ必要があり、アメリカでトランプ政権が誕生することは、むしろ日本にとって、プラスの出来事であるのではないだろうか。日本は核武装まで含めた自主防衛を進めるべきであろう。

トランプ次期大統領は、まずはTPPからの離脱を、訴えており、さらには日米同盟も今までとは違う、アメリカが日本を守るという片務的なものから、日本に自主防衛を認める、双務的なものにすると主張しており、これは経済的には、保護主義、外交的には、アメリカが、孤立主義の方向に向かうものだと思われる。今のアメリカ政府の借金は、州債務まで含めると、4000兆円くらいあり、なおかつ日本のように、国内で国債が消化されておらず、半分くらいは、海外に借金しているという状況であり、中国なんかも、350兆円近くのアメリカ国債を持っているのであって、こういうところでは、アメリカと中国は、蜜月の関係にあるのであって、トランプなら、そういう中国とも、対立をしていくことが予想されるので、日本にとっては、かえって、日本人の目を覚まさせることになるので、トランプが勝ってよかったと思われる。日本は真の意味でアメリカから独立する必要があり、インドやロシアとも独自の安全保障条約を結ぶべきであり、核武装まで踏み込んで、自主防衛というものをしていかなくてはならないだろう。

日本とロシアの首脳会談が、APECが行われている、ペルーで行われたわけだが、ここで安倍首相とプーチン大統領は、北方領土の返還問題や、共同経済活動問題、樺太のエネルギー開発問題などを話し合った。おそらくはロシアとしては、樺太のエネルギーを日本にパイプラインを通して、輸出していくという案を持っているのであって、それがOKなら、北方四島を返還してもいいと考えていると思うので、日本のエネルギー安全保障のためにも、樺太からエネルギーを輸入するべきであるし、北方領土の問題も解決するべきである。北方領土は、旧ソビエトに、侵攻されてから、71年がたち、いまだに領土問題として、日ロの間にくすぶっている問題であり、一日も早い、返還を期待したいと思う。

今現在、対立関係にある、アメリカとロシアだが、その一つはウクライナ問題で、もう一つはシリア問題である。アメリカ、ロシアともに核兵器の大量保有国であり、冷戦時代のその核兵器の存在が、今日の国際政治の、大きな問題の源となっていることは明らかである。トランプ次期大統領は、ロシアのプーチン大統領と話し合うと選挙戦の時から言っており、今現在よりは、米ロは緊張状態が緩むことになるであろう。オバマ大統領が、プラハ演説で核兵器をなくす方向で、世界を導いていきたいと演説したが、このロシアの存在がある限りそれは無理な話だろう。国際政治の基本は、バランスオブパワーであり、今まさにアメリカと、ロシアによる、世界の覇権を握る、パワーゲームが行われているのであって、われわれ日本も自主防衛という方法で、こういった世界情勢に向かい合っていかないといけないであろう。

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