2017年01月

アメリカのGDPは現在1700兆円くらいで、連邦債務は2000兆円くらいなので、GDP比でいうと100%超の財政赤字絵を抱えていると言っていいだろう。アメリカの連邦債務は米国債というものを発行して、まかなっているのだが、アメリカの財政状況の悪いところは、連邦債務の内50%くらいは、海外の投資家や国に買ってもらっているということであり、国内で95%消化されている日本に比べると、財政状況はかなり悪いと言えるだろう。しかし今は金本位制ではなく、金とドルのペッグ制ではないので、ヘリコプターマネーなどを使って、借金を踏み倒すこともできるし、軍事力や経済力の大きさは、アメリカはスーパーパワーなので、借金を返さない可能性が一番あるという意味では、アメリカの財政は安泰である。しかしアメリカはかつてのように中東と東アジア、それからヨーロッパすべてをまとめる力は徐々に落ちてきているので、そこは財政問題が原因でもあると同時に、オバマのイデオロギーによるところがかなり大きいと言えるであろう。アメリカは財政的には世界の警察官を維持できるが、イデオロギーでこの8年間オバマが放棄していたということが言えるので、アメリカの世界の警察官の放棄は、財政問題が主ではなかったということが言えるであろう。

アメリカのGDPはおよそ1700兆円と、日本の個人金融資産と同じ額を、一年間で稼ぎ出すスーパーパワーの国だが、2位は中国で、公称1000兆円くらいであるが、私の推測では、消費だけのGDPは350兆円くらいであり、日本とトントンくらいの規模であろう。アメリカはスーパーパワーではあるが、もはや中東と東アジアの両方で、戦争する力はなく、その原因は、財政赤字であり、トランプは選挙戦で、ヘリコプターマネーでアメリカの債務を解消するとまで発言しており、これは確かに今の変動相場制のもとでは実現可能な政策なので、やろうと思えばできるのだが、これをやったら今後誰も、アメリカ国債は買わないであろう。アメリカの借金は、連邦債務だけで2000兆円といわれており、これを返すの個人でははとてつもなく大変であるし不可能である。しかしトランプの減税と公共投資によって、アメリカ経済のパイは大きく拡大するので、国家単位で見れば、経済のパイ=名目GDPが拡大することによって、税収が大幅に増えると考えていいだろう。アメリカは世界の警察官足りえるか。オバマはイデオロギー的に否定したが、トランプはアメリカの財政赤字を理由に否定しており、今後の展開を見守っていきたい。

オバマ大統領がロシアの諜報員35人を強制送還したが、これに関してはオバマ政権末期に起きたことであり、トランプ政権になったら、水に流れるかのように忘れ去られるだろう。トランプ氏の外交スタンスとしては、非常にロシアというものを重視しているということがうかがえる。エクソンモービルのCEOを国務長官に任命するなどして、エネルギー外交をロシアと通じて行うつもりだし、アメリカのシェールオイルが採掘されてもなお、ロシアのエネルギーに配慮するといった人事がこのことから見て取れる。米ロが接近すれば、シリア問題やイラン問題、そしてISの問題など中東政策もうまく解決の方向に向かうだろうし、東アジアにおいても、対中国の抑止力として、核弾頭を7000発以上持っている、ロシアとの米国の接近は、非常に国際政治において大きな意義のあることである。トランプ外交はある意味オバマのアンチテーゼで出来上がっており、今後の8年かのトランプ外交に期待したい。

中東問題が、アメリカ抜きで関係の修復を成し遂げた、シリアの例がいいと思うが、アメリカはもはやバランスオブパワーで、世界中の地域、太平洋、中東、ヨーロッパの区にすべてを統治下に置くことは、財政上不可能というよりも無理であり、今回のシリア問題はロシアとトルコが調停役となったことが象徴的だが、アメリカはもはやスーパーパワーというのは確かに変わらないのだが、海外の問題に対して、関心を示さなくなったというのが、オバマ政権の8年間の結果だったと言えるであろう。トランプも選挙戦で孤立主義を謳っており、アメリカはスーパーパワーでありながらも、世界のあらゆる問題には関与しないという方針をとるのか、それとも対中国で強硬姿勢を示すのか、今後の国際情勢がどうなるかまだ分からない。またシリアの調停問題を受けて、トルコでテロが起き、39人の方が無くなられた。心からご冥福を祈りたい。これらはすべてアメリカがイラクから撤退したことを受けて起きている問題であり、イラクを空白地帯のままにしておくのは危険であり、本当ならアメリカは自分で始めたイラク戦争にけじめをつけるためにも、イラクに地上部隊を派遣するなどのことが必要なのだが、今のアメリカの財政状況では、アメリカは世界の警察官になるのは難しく、アメリカ抜きの国際政治・情勢がどうなっていくのか、トランプ政権に注目したい。

今年はアメリカでトランプ大統領が誕生する年でもあるので、親ロシア外交が進むと予想される。すでに中東では、ロシアのプーチン大統領の和平調停で、シリア政府と反政府軍の間で停戦合意が実現されており。アメリカが中東政策に関わらずに、こうした和平案というものが実現されるのは、近年ないことであって、アメリカ一国主義を公約に掲げているトランプ氏は、中東問題にも関与しないのか?少なくともIS は掃討すると宣言しており、オバマ政権よりかは中東問題に介入する可能性があると考えていいだろう。なんとなくこうしてみてみると、米ロ関係が修復されれば、中東問題は落ち着いてくるだろうし、国際政治は安定してくるように見える。米軍が撤退した空白地帯になっている、イラクなどにも、本来はアメリカは地上部隊を派遣するべきであったし、イラクからの撤退は失敗であったと言えるのだが、アメリカの今の連邦財政では、中国問題と中東問題の両方に手を回すことはできないので、まずは中国問題の方に力を注ぐべきだし、そうなるだろう。少なくとも米ロ関係が修復されれば、中東でISなどの問題が米ロの協力で、解決の方向に向かっていくことになると思われるので、国債政治安定のためにも米ロの関係修復は必要であろう。

↑このページのトップヘ