2017年04月

現在東アジア情勢における喫緊の課題は、北朝鮮問題であり、その背後にいる中国問題である。中国と日本だけを比べるなら、経済力も軍事力も中国の方が上であり、経済力は日本の二倍、軍事予算も日本の四倍、軍事技術も、軍事衛星の数は十倍といずれも日本を凌駕している。さらには人民解放軍は200万人もいて日本の自衛隊の20万人を圧倒しているし、戦闘機の数も中国の方が上である。こうした中でさらに中国は経済力もあり、日本はGDP500兆円なのに対して、中国は1000兆円と日本の二倍の規模に達しており、いくら2015年に株式市場が崩壊したといっても、いまだ日本の経済も低迷をしており、その差は縮まることが期待できない。こうしてみてみると、東アジアにおけるバランスオブパワーは、中国の方が優位であり、そのために日米同盟、日米安保が必要であり、日米関係をより親密にしていくためにも集団的自衛権は必要なのである。また日米同盟を堅持しつつ自主防衛能力をきちんと持つということも必要であり、今のトランプ政権はそのことを認めてくれる可能性の方が高く、そこはアメリカの共和党の方が民主党よりもより日米同盟が親密になるということが傾向的に言えるであろう。東アジア情勢で緊迫した情勢が続いているが、我々は自国の防衛について、新安保法などを制定するなど多少なりとも議論はしてきた。あとは憲法9条と原発の再稼働であり、日本は中国との間でバランスオブパワーを維持したのなら核武装も含めた自主防衛が必要であろう。

アメリカがICBMの発射を行い、北朝鮮へのミサイル攻撃も辞さないという構えを見せたら、今度は北朝鮮側がミサイル実験を行い、これは即失敗したが、わざと失敗させているのだという説が有力であり、前回もアメリカのシリア攻撃の後に同じようなことがあったといえ北朝鮮も頭を使っているといえるだろう。北朝鮮としては日米に対する脅しとして行っているミサイル実験だが、今日本はこの北朝鮮のミサイル攻撃をかわす手段がないというのが悲しいが事実であり、日本を守るためにはアメリカの国防力が必要であり、そのため日米同盟が必要になってくるであろう。日米同盟特に集団的自衛権の分野はもはやあって当たり前のものを、集団的、個別的と色分けして議論しているのは日本だけで、要は自衛権を憲法にもしっかりと明記するべきであるということが大事であるといえるだろう。今日本海にはアメリカ空母のカールビンソン、ロナルドレーガン、駆逐艦二隻、日本のイージス艦二隻が待機している状況であり、日米は最善の努力を費やして日本と日本人を守ろうとしているのであるといえるだろう。日本も自国のことは自国で守るという自主防衛能力を付けるべきであったのだが、日本がこの20年間それを怠ってきた中で、東アジアの軍事カードと外交カードを中国と北朝鮮に握られてしまったのは日本の軍事的、外交的汚点である問えるであろう。

アメリカはICBMミサイルを発射し、太平洋マーシャル諸島近郊に着弾したと発表した。これは明らかに北朝鮮やその背後にいる中国への軍事的圧力であり、北朝鮮が本当にミサイル実験、もしくは核実験を行なったら、本気で北朝鮮をたたく覚悟でいるという強烈なメッセージとしての役割を果たしているといえるであろう。アメリカはここ1か月ほどの動きを見ていると、とにかくロシアに気を相当使っており、ロシアとの関係改善にアメリカ側が取り組んでいるという状況が客観的にいえるだろう。こうしたことの背景にあるのは、対北朝鮮や対中国問題であり、アメリカはロシアを自国陣営に引きずり込んで、北朝鮮と中国に対して軍事的に牽制する意向なのではないだろうか。東アジアは北朝鮮と中国といった社会主義国が残っており、ある意味で冷戦がそのまま続いている国なので、アメリカとしてもこの東アジア情勢に対する問題にどう取り組んでいくかが課題となるであろう。中国に対しては経済的交流による内部からの崩壊と軍事的圧力の両方を使って向かい合っているのが、今のアメリカの対中国外交であり、この二重の手段でアメリカは中国と向かい合っているのが現状の国際情勢である。とにかくアメリカと中国の対立は今は表にはまだ出ていないが、いずれ必ずアメリカ国民と中国共産党の価値観の違いから、軍事的にぶつかる日が来ると私は考えており、そうした有事の際に日本に自主防衛能力がないことが問題であり、日本は核武装も含めた自主防衛力を保持するべきであろう。

安倍総理がロシアを訪問し、プーチン大統領との間で、北方領土に関する問題で、まずは日ロで共同で経済協力を行うという方針で、お互い一致したことは、日本の北方領土問題に対して一歩前進したことは間違いない。しかしこの安倍総理の訪ロは、アメリカのティラーソン国務長官が同じく訪ロしたために、日本もアメリカと歩調を合わせて慌てて訪ロしたと私は見ている。表向きは北方領土問題の解決が主なミッションということになっているが、実際には、対北朝鮮問題や中国問題などに対して、日本としてもロシアの協力がいると判断したためではないだろうか。何はともあれ北方領土が一日も早く日本に返還されることを望んでいる。問題は北朝鮮もしくは中国問題であり、アメリカは日米同盟を基軸に、台湾やASEAN諸国、インドそしてロシアなどを抱き込み、中国包囲網を作ろうとしていてもおかしくはないと考えられる。中国がこれ以上経済力と軍事力を付けないうちに中国をたたいておこうというのがトランプ政権の姿勢かどうかは定かではないが、その可能性も十分ありうることであり、米中間で核が向き合っているから戦争はないという発想は、共産主義国で、無神論唯物論の国である中国には通じない理論であろう。

1945年の第二次世界大戦が終わった時には、アメリカの経済規模は世界経済の50%近くを占めており、それが徐々に下がってきており、今現時点では世界経済の16%まで落ちているという。これは国際政治アナリストの伊藤貫氏のデータだが、私の確認したものでは、アメリカ経済の今減税の世界に占める割合は24%とあり、中国は14%とあって、アメリカはもはや世界一のスーパーパワーの国ではないということがこのデータからは見て取れる。こうした中国をはじめとする新興経済国の台頭によって、アメリカの世界経済に占めるGDPの割合は徐々に減っていくと予想できるが、トランプ大統領の誕生で、アメリカは法人税や所得税の減税、並びにウォール街に対する規制緩和を行うので、トランプ時代にかなりの部分経済が拡大するということが予測できるであろう。かつてレーガン大統領が政権につく前にはアメリカ経済は、わずかGDP250兆円の国であったが、それがレーガン政権の8年間で、500兆円にまで拡大し、今では1800兆円を超える経済大国アメリカはなっている。トランプの政策はレーガン大統領のモノと非常に似ており、格差は拡大するだろうが、経済全体のパイも拡大するので、全体の取り分が増えることによって、貧困率は下がることが期待できる。アメリカ経済はいつの時代も世界のお手本であってほしいと思う。こうした経済事情が良くなれば、アメリカの世界戦略である、世界中に国をアメリカ一国が一極支配するということも現実味を帯びてくるのであって、そうした意味でもトランプ大統領の役割は大きいだろう。

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