2017年05月

米ソ冷戦期には、アメリカを中心とする資本主義陣営とソ連を中心とする社会主義陣営、これにEUと第三世界とくわえた構造が世界の構造であったが、基本的には米ソどちらかの陣営に世界中の国が属する現象が見られた時代であった。この米ソ冷戦期には、アメリカが第二次大戦の終わりに日本に原爆を落としたことから、今度は47年にソ連が原爆実験を成功させてから冷戦がスタートしたといってよく、91年のソ連崩壊まで44年間米ソ対立は続いたということがいえる。この米ソ冷戦期には、基本的には核兵器がお互いの国、もしくは陣営に向かい合っていることによる、対立はあるが抑制が効いている状態というものが続いていた時代であり、こうした核という究極の兵器によってバランスオブパワーが働いていた時代であり、日本はそうした中で、平和を享受できた希有な時代であったといえるであろう。今の東アジア情勢でも、日本が核武装すれば、中国や北朝鮮は日本には手を出せなくなるといえ、私としては日本も自主防衛能力としての核兵器を保有するべきであると考える次第である。

フランスでのマクロン大統領誕生やその前のイギリスのEU離脱、ブレグジットなどで、最近EUという連合体が国際政治の中でも改めて注目を集めており、これは2010年のギリシャショック以来の注目度であろう。そもそもEUはベネルクス三国といって、ベルギー、オランダ、ルクセンブルクの経済共同体から始まったものであり、そこにフランスやドイツのような大国が入ってきて、50年代から60年代にかけて、フランスではドゴール大統領が、西ドイツではアデナウアー首相が采配を振るっていた時期に、フランとドイツがアメリカとソ連の冷戦構造に巻き込まれないようにと、第三極として、EUの前身となるECを作ったことがEUの始まりである。この米ソ冷戦時代において、特にフランスなどは対中国や対中東政策において、アメリカとは別の国家戦略を持って現実の国際政治を行ったといえ、やはりEUという連合体の力が背景にあったから、アメリカとある程度の距離間が採れたといえるのだろう。日本の場合は日米同盟が最も大事だし、今現実に失敗しかかっているEUと同じような東アジア共同体などという話には絶対に乗ってはいけないと私は考えているが、フランスやドイツは、世論がマクロン大統領を選んだことによって、このEUというものを大事にしていくことになるのであろう。

北朝鮮が日本時間29日に、またもやミサイル実験を行ったことが解った。今回は日本のEEZ内に着弾した模様であり、これに対して日本はなすすべもないまま、北朝鮮に一方的にしてやられているといった感じを受ける。アメリカは空母、カール・ビンソン、ロナルド・レーガンに続く三隻目の空母、ニミッツを日本海に派遣し、北朝鮮への圧力を加える見通しだ。実際に北朝鮮は日本との駆け引きではかなり有利な立場に立っているが、アメリカがそこに入ってくると、なかなかICBMの発射や、核実験ということはできないということで、日本にとってアメリカの存在感はやはり大きいといえるだろう。私としては、日本を核兵器の被害から守るためにも、日本も核武装する必要があると考えている。共産主義国兼独裁国家の指導者は、古典的なバランスオブパワー外交は通用しないと見てよく、やはり究極の抑止力である、核兵器で日本を守る以外には方法はないと私は思うし、これは中国に対しても同じことがいえるであろう。日本は唯一の被爆国であることを忘れてはいけないし、核兵器の恐ろしさを身をもって体験している国であるので、私の主張は通らないかもしれないが、現実の国際政治で,北朝鮮の暴発や中国の軍事拡張がある以上、やはり日本の領土と日本人を守るためにも私は日本の核武装に賛成する次第である。

今の中東情勢、ISやシリア内戦、イランの核開発問題などは、アメリカがソ連崩壊以降、今度は自分たちが世界を一極支配するのだという姿勢を見せ、イラクのフセイン政権を仏書親子が攻撃したことによって、2003年にはイラクを統治下に置き、アメリカの帝国主義などと批判された。しかし度重なるアメリカ軍兵士の犠牲などによって、アメリカの国内世論は米軍のイラク撤退に傾いていき、バラク・オバマが大統領に就任すると、米軍はイラクから完全撤退したのである。その結果イラクの治安は悪化し、ISなどの新たな勢力が出てきた原因となっていると見ていいであろう。アメリカは自国で始めたイラク戦争は自国で最後まで責任を持つべきで、イラクからの米軍撤退などと自国に都合のいいようにチュ等情勢を混乱させた原因は、ブッシュにもオバマにもあるといえるであろう。アメリカは本当はイラクに再び地上部隊を導入するなど、中東情勢の世紀人を追わなくてはならないのだが、今のアメリカの財政事情ではそれもできないといってよく、今は北朝鮮問題の方が、自国に核ミサイルが飛んでくる可能性が出てきたため、トランプ政権も関心があるとみていいだろう。

イタリアで開かれているG7で、NATO軍のIS掃討が確認された。このIS問題の根本は、ブッシュアメリカ大統領親子がイラクで始めた戦争を、オバマ政権の時に、強制的に米軍を撤退させる形で、アメリカがイラク問題から手を引いたことに端を発するといえる。イラクから10万人規模の軍隊が消えたことによって、その後世界は、中東はもちろんのこと、北アフリカや、ロシア、中国でも政情が不安定化したということが確認でき、アメリカ軍が中東から撤退したことのインパクトはやはり大きかったといえるであろう。特にイラクでは、アメリカ軍撤退の後治安が悪化する中で、ISのようなイスラム教スンニ派過激組織が出てきたわけであって、やはり米軍はイラクに踏みとどまるべきであっただろう。こうしたイラクから米軍が撤退せざるを得なかった大きな理由の一つは、アメリカの財政問題であろう。現在アメリカの財政赤字は、連邦債務でおよそ2000兆円規模に達しており、GDP1800兆円の規模を超えている。しかもアメリカの連邦債務は日本政府の借金と違って、約半分が海外からの借り入れのため、本当の借金であり、これらの現象はリーマンショック以降堅調になって表れてきたといえるのであり、リーマンショックがアメリカの国力の衰退や政治の方向性を大きく変えたといえるであろう。

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