日本が先のフィリピンでのASEANで提唱した、インド太平洋経済圏構想で、アメリカのトランプ大統領もまたこの構想に前向きな姿勢を示したことは、政権当初のアメリカのTPPからの離脱などを巡る動きから、アメリカが本来のグローバル経済の方へ舵を切る可能性を示唆したと私は思った。すでに中国はEUまで続く経済圏、シルクロード経済圏構想を打ち出しており、日米もこれに対抗する経済圏構想が必要であると、トランプ大統領が考えが変わったとしてもおかしくない。自由貿易は基本的にはお互いの国同士を発展させるものでなければならないが、これが19世紀から戦前までの世界では、残念ながら見られなかった現象でもあり、その正当性に疑問の声もあるのは十分に解る。しかし戦後の日本の短期間での発展や、香港やシンガポールなどといった国は、自由貿易によって、高い生活水準を誇っており、ここに自由貿易の正当性がある。またインドなども発展段階だが、今後自由貿易によって経済が発展していくという期待がある。何よりも中国自身が、巨大な社会主義国であると同時に、90年代以降、自由貿易によって、世界第二位の経済大国にのぼりつめたのは注目に値する。その中国が経済的にも軍事的にも日本の脅威となっているので、今回のインド太平洋経済圏構想は、ぜひとも中国への防波堤として実現するべきだし、アメリカにも理解を求めるべきであろう。